図柄表:マリア=テレジア 図柄裏:聖母マリアとイエス・キリスト 発行地:神聖ローマ帝国ハンガリー王国クレムニツァ造幣局 発行年:1744年 銘文表:M THERES D G REG HU BO 銘文裏:S MARIA MATER DEI PATRONA HUNG 1744 銘文縁:IUSTITIA ET CLEMENTIA 額 面:ターレル(ターラー) 材 質:銀(.835) 直 径:42.0 mm 重 量:28.9 g 分 類:KM-337 備 考:アンティークコインを代表する名品 アンティークコインを代表する美しい大型銀貨。不動の人気を誇る一枚で、いつの時代もコレクターを魅了してきた。マリア=テレジアのターレル銀貨のデザインには幾つかのヴァージョンが存在する。本貨は、マリア=テレジアの肖像に聖母子像を描いたタイプ。聖母マリアと赤子のイエス・キリストの姿が非常に美しい。 マリア=テレジアは女帝とも渾名され、名目上は夫が皇帝の地位を有したが、彼は婿養子であり、ハプスブルク家の血を引く彼女が事実上の実権を常に握った。彼女は子女を隣国に嫁がせることで同盟関係を築き、繁栄を強固なものとした。最も著名な例がブルボン朝フランスに嫁いだマリー=アントワネットである。オーストリアとフランスはかつてより犬猿の仲にあったが、マリア=テレジアはルイ15世に融和政策を持ち掛けた。末娘マリア=アントーニアをフランス皇太子ベリー公(ルイ16世)に嫁がせ、同盟関係を構築したのである。マリア=テレジアの外交は巧みで、娘を次々に周辺諸国へ継がせていった。自身は当時の王侯貴族としては珍しい恋愛結婚を叶えた。最も溺愛していた娘ミミだけは恋愛結婚を許した。末娘マリア=アントーニアをフランスに嫁がせることに成功はしたものの、教育が間に合わず、書簡で常に不安を露わにした。 このターレル銀貨は美しいことから、後にイタリア王ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世が模倣してターレロ銀貨を造らせた。彼は熱心なコイン収集家で古銭研究者でもあり、貨幣の意匠に一際こだわった。